矢野義憲 展 オブジェのような箱

2018年12月15日(土) – 23日(日)11:00 – 18:00  作家在廊日 12月15日(土)・16日(日)
@ TASTE & TOUCH DECO 神戸市中央区海岸通1-2-10

この度2年ぶりに矢野義憲さんの個展を神戸テイスト&タッチ デコにて開催します。開催にあたり、わたしたちは矢野さんのアトリエを訪ねました。造形物として人を惹きつける矢野さんの作品。その背景には、木がそこにある意味や答えを誰も問うことがないのと同じく、ただ眺める時間を愛おしく感じさせてくれる糸島での生活がありました。そこで感じたことをみなさまにもお伝えしたく、全3回にわたってこのウェブマガジンでお届けします。

第2回 糸島の矢野さんのアトリエ

空港から小一時間、車を走らせると多くの人が行き交う市内とはうってかわって海と山に囲まれた糸島。空も空気も水も澄んでいる。遮るもののない見晴らしの良い風景がそう感じさせるのかもしれない。

山に向かい、一心に木と向かう。
夏は暑く、冬は寒い、この吹き曝しの作業スペースが矢野さんのアトリエ。心地よい風に、深呼吸できるひとときもあるだろうけど日が暮れるまで一日中籠りきりになることもしばしば。

没頭する矢野さんの手元を見ていると息をするのを忘れてしまう。真剣勝負を見せられているようで目が離せない。

手にする道具も木、向き合う素材も木、その真ん中にある作り手の手までもが木に見える。

作業が終わり、静まり返ったアトリエでひときわ存在感を放つ鑿や鉋。ついさっきまで、額に汗しながらそれらを握りしめる矢野さんの息づかいがそこにあるかのように。

無骨なまでにプリミティブな作品もあれば、緻密で美しくやわらかさを感じる作品もある。

描くのではなく、木から木を、植物をつくる。その中にはまるで生きているかのような葉や花もある。地に根を張り、生を受けてきた生き物である木からつくられたから温かみがあり、生きた人間の手仕事だから温もりを感じさせる。手にすると、伝わるやさしさがある。

アトリエに隣接する母屋にある矢野家の何気ない毎日。
その暮らしの中にはいくつもの矢野さんの作品がつかわれている。不思議なことに、アトリエで目にした作品から感じられた強い存在感を放つのではなくごくごく当たり前の日常としてそこに在り、作り手ではなく、今度は大切に紡がれてゆく日々と使い手の息づかいが感じられた。

アトリエでの真剣な表情とはうってかわって穏やかな矢野さんの何でもない話しを聞きながら美味しいコーヒーをいただいた極上の時間が忘れられない。

冬暖の会
2018年12月15日(土) ① 11時30分〜 ② 15時30分〜   各回6名様限定  *まだ若干名のお席をご用意できます。

2年ぶりとなるテイスト&タッチ デコでの会期初日に矢野さんが中国茶をサーブしてくださる時間を設けております。11月に展示会のため台湾に滞在された矢野さんが、その地に根付いたお茶の文化に触れ、これまで以上にお茶の時間をさらに愉しめるようになったとお話ししてくださいました。ほんの短い時間となりますが、矢野さんとの時間をお愉しみいただけたらと思います。

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