フィンランド日記

デフ・カンパニーは今年30周年を迎えました。その中で20年以上に渡りパートナーシップを築いてきたのがフィンランドのテキスタイルブランド「ヨハンナ・グリクセン」です。
この夏、総勢8名のスタッフがヨハンナの住むフィンランドへ研修旅行に行ってきました。これはその中の1人のスタッフが綴った旅行記です。前編・後編と2週に渡りお届けしています。

フィンランド日記

その日の予定は午後から、フィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルトの自邸とアトリエを見学するガイドツアーだ。午前中は自由時間だったので、現地集合場所まで1時間ほどの道のりをひとりで歩いて向かうことにした。ルートはとくに決めてなかったが、午後の予習を兼ねて寄りたい場所がひとつあった。フィンランディアホールというアアルトが晩年に設計した施設だ。予習と言ったのは大袈裟で、建築にとりわけ興味があるわけでもなく、それが何のために建てられたのかも知らなかったのだが、世界的に有名な建築家が作った空間にただ足を踏み入れてみたかった。

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中にはアアルトがデザインした家具が客席に使われているカフェがあった。カウンターのケースに美味しそうなサンドイッチやケーキが並んでいて、スーツの制服を格好良く着こなした店員さんたちがサーブしていた。お腹はそれほど減ってなかったがここで食事をしたいという気持ちが勝り、きれいにデコレーションされたケーキとすすめてもらったお茶を頼んだ。自分が席についたあとカラフルで洒落た洋服を着た元気なおばあちゃんの団体が来て、店員さんと楽しそうに話しながら注文していた。きっとここは地元の人たちの憩いの場所になっているのだろう。その時その場にいた外国人は自分だけだったように思う。簡単なあいさつくらいしか意味はわからないけど、飛び交うフィンランド語の独特な発音が耳に心地良く、現地の暮らしに少し溶け込めたような気がした。

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フィンランディアホールを出たあとは、パステル調の塗料で化粧をした色とりどりのアパルトマンが立ち並ぶ趣ある市街を抜けて、集合場所のアアルト邸を目指し海のそばの道をひたすら歩いた。途中には大きな公園もいくつかあって街の中心を離れるほどに緑が豊かに広がっていった。岸辺の岩に腰かけて海をゆっくり眺めるひとや園内のスポーツ施設でテニスをするひとの姿を横目にし、自由気ままに余暇を過ごす住民たちを羨ましく思いつつ、負けじと海辺の岩場や林の中を通って自然を満喫しながらひとり進んで目的地にたどり着いた。

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アアルトの自邸とそこから歩いて数分のところにあるアトリエではそれぞれ別のガイドがアアルトや彼の家族にまつわるエピソードなど交えながら英語で丁寧に解説をしてくれた。意外にもこじんまりとした自邸の一階は応接室、二階は住居スペースだったそうだ。ところどころ当時の生活が再現されていたが、世界的な建築家ともある彼が家族との時間、暮らしを大切にしていたことを容易に察することができた。アトリエの一階にはイタリアの大衆食堂に影響を受けて作られたという社員食堂があった。そこの席につきガイドの話をみんな真剣に聞いていたのだが、きっと食べることが好きでスタッフへの思いやりが深い上司だったんだろうな、などとアアルトの人柄を想像していたら、その日は別行動をしていただれかさんの顔が浮かんで、思わず小さな笑みがこぼれた。

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夢のような日々は束の間で、もう出発の日が来てしまった。滞在中トラムに乗っているときに見つけた雰囲気の良いカフェで最後に食事をしようと思っていたが残念なことにその日はお休みだった。きっとまたここに来る運命なのだろうとフィンランドを再訪する理由をもうひとつ増やした。
勤続10年のご褒美で連れてきてもらった社員旅行だったが、ハプニングに見舞われたりしながらも、みんなすっかりフィンランドの魅力に浸かっておもいおもいに旅を満喫していた。人生はよく旅にたとえられるけど、その逆も同じだ。不安、後悔、歓喜、感動、・・・。振り返ればたった数日の間にもいろんな感情が交錯して濃い時間を過ごしたように思う。
旅に出る理由なんてなんだっていい。そこにはきっとかけがえのない出会いが待っていて、そのすべてに感謝できるのだから。

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ヨハンナ・グリクセンについて

フィンランドを代表するテキスタイルブランド Johanna Gullichsen Textile Craft & Design。独特なパターンとカラーバリエーションで展開させる幾何学模様のノルマンディコレクションはヨーロッパだけでなく日本においても絶大なる高い評価を得ています。北欧のテキスタイルの伝統を新たな視点で解釈し続け、単に流行し消費されるのではない「真に価値あるデザイン」を創造するブランドです。デフ・カンパニーは2007年より日本輸入販売代理店としてエージェント契約を結び兵庫県、神戸にフラッグシップショップを構えています。 2010年よりデザイナーであるヨハンナ・グリクセンとの共同企画にて、日本限定プロダクト「Puzzle」を制作、販売しています。

Instagram : @johanna_gullichsen_japan
Web Shop : johannagullichsen.jp / taste&touch web shop