小さな苺が八百屋に並ぶと、夜な夜な苺ジャムを作ってくれた母と幼い頃を思い出す。キッチンに立ちこめる甘い香りに、またこの季節がやってきた喜びと翌朝のトーストに思いを馳せながら眠りにつく幸せを感じた。時を経て私も母になり、子育てをしている。そして母と同じように毎日仕事をしながら、毎日キッチンに立つけれど、朝の支度も夕飯の準備も慌ただしく食事の用意をすることに精一杯で子供たちとゆっくり会話をする間もない、というより作ることに集中したいと思ってしまう。でもジャム作りとなると特別で、苺を選ぶところから子供達と楽しむことができるから不思議。小さくて、赤くて新鮮な苺を１パックづつ時間をかけて選ぶ。苺の葉っぱがピンと尖っているのがいいらしい。いつもは決して使わせない包丁にもチャレンジしてもらう。つまみ食いにも目を瞑る。きれいな赤色に仕上げるためのレモンもしっかりと絞ってもらう。苺と砂糖(三温糖がおすすめです)を混ぜ合わせて、本当は一晩置くといいらしいが、買ったその日にジャムにしたいせっかちな私たちは１時間程待って、火にかける。コトコト、コトコト２時間くらい灰汁をとりながら甘い香りを愉しむ。今年は家にいる時間がたっぷりあるからもう2回もジャムを作った。仕上がると必ず「あ〜幸せの香り」とにっこりする子供達に昔の自分を重ねながら夜更かしをする。

用意するもの

・苺　８パック
・三温糖　５００グラムくらい
・レモン　２つ