石畳の緩やかな坂の途中に通っていた中学校はあった。建物は古く壁はひびだらけ。鉄枠の窓は2人がかりでないと開かず、開けたはいいが閉まらなくなることもしばしばだった。夏は暑いし、冬は寒い。生徒達は文句を言っていたけれど、不便さをどこか面白がっているふしもあった。
坂を上り切ると一面に松林と海が広がり、風の強い日は海の匂いが校舎に届いた。

何の予定もなしに友人と行く放課後の海が好きだった。防波堤に腰かけてたわいのないおしゃべりをする。空と海との境界線は曖昧で細かい光の反射が目に眩しい。
やがて夕方が近づくと海の色がキュッと引き締まる。水彩絵の具をにじませるようにみるみる空の色が変化していく。水平線まで降りてきた太陽が海にとろんと溶けると、黄色や赤やオレンジ色が空と海に混ざる。やがて太陽は海に深く飲み込まれ熱を帯びていた景色は一気に覚める。

帰り道今日の夕日は何点だった、なんてじゃれ合いながらも私たちは知っていたのだと思う。これはとても贅沢な時間で大人になったらなかなか手に入らないということを。今でも晴れた日の夕方に空を見上げてしまうのは、あの頃の優しい気持ちに戻れるからなのだと思う。

11月はVista（ヴィスタ）のご紹介です。
リングを画布に見立て、18Kの多彩な色をぼかしながら造形していくアトリエ・ダンタンのジュエリーの中でも特別なシリーズです。
ご覧いただけるのは年2回開催されるお披露目会だけとなっています。
見る人の感性や感情を思い起こさせる‘Vista’。ぜひ各会場に足をお運びいただき体感していただければ思います。
皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

– Vista –
Top : 7 Tone ¥121,000- ・ Middle : 7 Tone Patchwork ¥220,000- ・ Bottom : Circle Ring ¥86,900- / 7 Tone ¥121,000- / Rainbow Heptagon Ring ¥66,000- / Patchwork Ring ¥85,800-